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特定外来植物、静かなる侵食 根張り増殖、除去に苦戦

西日本新聞 11月28日(土)7時10分配信から抜粋

2013年に県内で初確認された毒グモ「セアカゴケグモ」(オーストラリア原産)や、最近では、生息域拡大が懸念されるスズメバチ「ツマアカスズメバチ」(中国原産)など、特定外来生物がたびたび世間を騒がせている。熊本県内では23種を確認し、うち11種は植物という。在来生物の生育環境への悪影響を避けるため、活発な除去活動が続く場所があると聞き、現場を訪ねた。

秘密兵器・水草回収船を4200万円で導入

 今月中旬、熊本市の憩いの場、江津湖。遊歩道から見渡すと、数十メートル四方はある緑色の水草が湖面を覆っていた。主な種類は、南米原産の「ブラジルチドメグサ」とアフリカ原産の「ボタンウキクサ」。ボタンウキクサは外観から「ウオーターレタス」とも呼ばれ、湖面はまるで野菜畑だ。
 そんな水草を“収穫”するように刈り取る船が目に留まった。熊本市が3月、約4200万円で導入した水草回収船だ。水草をつかみ取るクレーンが付いた秘密兵器。昨年度は約1200トンを回収したらしい。
 「護岸に根を張るブラジルチドメグサは全長20~30メートルに成長。除去しないとボートもこげなくなる」とは水前寺江津湖公園の指定管理者「市造園建設業協会」の松本秀和さん(51)。根気強い除去作業は以前から続いているそうだ。しかし回収した水草の量は相当なもの。かつて市動植物園のカバにボタンウキクサを与えたところ「表面に固い産毛があり、口に合わなかった」(同園)といい、活用の難しさも悩みの種だ。

「スパルティナ属」の植物愛知ではほぼ根絶

 次は坪井川河口(同市)を訪れた。潮が引いた午後3時ごろ、普段は水中に姿を隠しているという「スパルティナ属」の植物が姿を現した。海水と淡水が入り交じる干潟に繁殖する南・北米原産のイネ科植物だ。昨年6月に特定外来生物に指定されたばかりで、国内で確認された地域は愛知、熊本の2県だけという。
 その姿は一見、枯れているように見えるが、「根はずっと生きていて、春になると成長し、全長2メートルほどになります」と県自然保護課の山部徳博さん(52)。円状に群生するのが特徴といい、山部さんは「植物に泥などが着いて固まると、希少のカニ『シオマネキ』などの干潟のすみかを奪いかねない」と懸念する。
 環境省九州地方環境事務所は今夏、近くの白川河口(同市)に繁殖するスパルティナ属の全ての植物を重機で根こそぎ除去した。県内では宇城市の大野川などでも確認され、県や同事務所などでつくる検討会で対策を練る。山部さんは「愛知ではほぼ根絶できた。日本から無くすため、熊本でも2018年度末までに撲滅したい」と意気込む。

 行政を中心に特定外来生物の駆除や除去が進むが、県民にも何かできないか。例えば、黄色い花びらが美しい「オオキンケイギク」を摘んで持ち帰るとか。同事務所に聞くと、驚きの答えが返った。「庭などで栽培すると外来生物法違反になる」。何が特定外来生物に指定されているか、まずは知ることが先決だ。